屈折異常について
近視
近視について
仮に、目をカメラに例えるなら、角膜は屈折付きフィルター・水晶体はピントを合わせるためのレンズ・網膜はフイルムの役割を果たします。目も同じ働きで外界の光は、角膜→前房→硝子体を経由させ→網膜に像を結びます。しかし、近視の目では網膜手前で像が結ばれるため、近くは見えても遠くのものがぼやけ見えなくなり良好な視界を得ることができません。このように近視は、「遺伝的要因」と「環境的要因」に分かれており、強度の近視の場合には「遺伝的要因」軽度の近視は「環境的要因」と考えられています。また、両親が近視だと子供も近視になる遺伝的要因が高く「PAX6」「LEPREL1」という遺伝子の変異が原因と考えられ、単一の遺伝子ではなく複数の遺伝子の変異が近視を引き起こしている可能性が指摘されています。
近視と進行の分類
屈折性近視
近視そのものは、図2の通り網膜手前(near sighted eye)にピントを合わせます。
眼球の奥行きは正常(約22〜24mm)でありながら角膜や水晶体の屈折力が強いことで
ピントが網膜手前に焦点を結びます。
この屈折異常によって起きるピンボケ作用を屈折性近視といいます。
「軸性近視について」
眼球がわずか1mm程度違うだけで「-3Dioptrie」(ジオプトリー=レンズの屈折力の単位
1メートルを焦点距離で除した値)となり、視力を目安とすれば調節を除き約0.08〜0.07程度の近視となります。また、乳児の眼軸は約16㎜ですが成人になると約24㎜となり生まれた時は、ほとんどの人が遠視ですが眼球の成長とともに正視となります。(網膜に焦点を結ぶ)しかし一部の人は、角膜と水晶体の全屈折力に比べて眼軸が長くなり過ぎ屈折によって集められた光の焦点がさらに網膜の手前で像が結ばれてしまうことを「軸性近視」といいます。また、現在の医学では、伸びてしまった眼軸を短くする方法は見つかっていないのが現状です。
「仮性近視」
近くの対象物を長く見続けることにより、水晶体は厚みを変えピントを調節します。また「毛様体筋」の維持が困難となり眼痙攣を起すなど焦点も元に戻りづらくなります。
そのため、ピントが近くに固定されることで、一時的に遠くのものが見え難い症状をひき起こします。この状態を一般的に「仮性近視」と呼びます。
「調節ラグ」
この調節のメカニズムは完全に焦点を結べず誤差が生じます。
これら現象を調節ラグといいます。また、調節ラグによって焦点が網膜手前に位置するためピントが合わせずらく、さらに無理な調節は近視が進行するとも考えられています。
「子供が見えずらいと言い始めた」
「子供の検査ほど難しい」
そして、8歳〜9歳までは「視力の発達期」にあり、その期間に異常を放置すると正常な視覚の発達を妨げることになります。この発達期に、目の病気や強い「近視」「遠視」「乱視」「斜視」など放置すると正常な視力が発達とともに妨げられ、後から治療しても理想的な視力を得ることが困難となります。一般的に0歳〜3歳の目は感受性が非常に高く、外からの視覚刺激によって網膜から視神経、その先の大脳の視覚が急成長する大切な時期となります。最近「目つきが悪い」などや「目線が合っていない」「首を傾けて見ている」などの気になる仕草や目の症状の異変に気づいたら、早期受診をお勧めします。
「子供の弱視と斜視について」
子供の弱視は50人に1人の割合で起きており、幼少時の目の代表的疾患は斜視と弱視となります。
斜視は片方の眼球が外側や内側に向いているのですぐに判別することができます。
特に遠視性不同視による弱視では、片方が見えるのに対し片方が見えない目であることから、日常生活に不自由を感じることなく、親もそれに気がつかず治療を困難とするケースがあります。
このようなことから、3歳児健康診断は必ず受診して下さい。また、早期に異常が発見され適切な治療を受ければ正常な視力を得ることができます。
弱視の形態「形態覚遮断弱視について」
主な原因は、「白内障」「角膜混濁」「瞳孔閉鎖」「眼窩腫瘍」となります。
その他「斜視弱視」斜視があるため斜視眼が抑制されて起こる視力障害や「不同視弱視」左右のうち片眼に屈折異常があり大幅な左右のずれによる視力障害。「屈折異常弱視」両眼の屈折異常による視力障害などがあります。
「頭痛や肩こりなど引き起こす過矯正について」
過矯正は、外界からの光を網膜後方に焦点を結ぶため、近視でありながら遠視とさせます。そのため、副交感神経や交感神経の働きを不規則とさせ偏頭痛や肩こり・目の疲れ・意欲の低下など自律神経障害を引き起こします。
単に過矯正は度が強いだけでなく、三半規管を原因とする「めまい」「空間識障害」「回転性めまい」(真性めまい)や「動揺性めまい」(ふあっとする)「仮性めまい」(中枢全庭系)末梢障害など、メニエール病(前庭神経障害)に似た症状からも、適切な矯正が求められます。
「目の疲れをとるテクニックについて」
「環境的要因とVDT症候群について」(別名テクノストレス眼症)
「VDT症候群とは」
「VDT作業中の注意点」日常的に目の負担軽減は大切な作業です。その為、適度な休憩 1時間に10~15分は休憩を取るなど遠くを眺めて見ましょう。また、運動で緊張をほぐすなど、目の健康体操も効果的対策となります。
遠視
遠視と老視のちがい
目に入ってきた光は角膜、続いて水晶体(カメラのレンズの役割を果たします)を通って屈折し、眼球の奥にある網膜(カメラのフィルムの役割を果たします)に到達します。網膜でピントがあうように水晶体の厚さを調節します。
目に入ってきた光は角膜、続いて水晶体(カメラのレンズの役割を果たします)を通って屈折し、眼球の奥にある網膜(カメラのフィルムの役割を果たします)に到達します。網膜でピントがあうように水晶体の厚さを調節します。
遠視(屈折異常)
- 目に入ってきた光は眼軸が短いため、調節を休ませたとき、網膜の後ろにピントが合ってしまいます。
- 遠いところや近いところを見る場合、より多くの調節を要し、網膜にピントを合わせることになります。
遠視とは、まったく調節しない時に網膜の後方でピントが合うため、遠くを見る時は少しの調節で見え、近くを見る時は強く調節をしないとはっきり見えない目のことです。遠くでも近くでも調節が必要になり疲れやすい目です。
老眼(調節異常)
- 肩こり
- 目の疲れ
- 頭痛
- 吐き気
子どもの遠視
- 絶えず目の調節を必要とするため、目と身体が疲れやすく、集中できずに学習や仕事の能率があがらない
- 遠視の度が強くなると、内斜視になったり、視力の発達がまだ不十分な小児の場合、弱視になったりする
内斜視:
弱視:
遠視の矯正
遠視の矯正には凸レンズを使います。凸レンズは光を集め、屈折力を強めるように働くので、網膜の後ろで像を結ぶ場合の矯正に用いられます。
近視の人は老眼にならない?
近視の人は老眼になっても、正視、遠視の人と比べて、もともと近いところにピントが合っているので、その分だけ水晶体の調節を必要とせず、見かけ上、老眼になっていないようにみえます。
また、近視の人は、近視用のメガネをかけた状態では、正視の人と何ら変わることはありません。近いところを見る場合には、正視の人が老眼鏡をかけるのと同じように、近視用のメガネをはずしたり、度を下げたりすることにより対処します。
遠視と老眼は違うものですが、どちらも目の疲れを中心とした症状に、身体の疲労が加わります。近くを見る作業を長く続けると、目や身体に疲れがたまります。あまり目が疲れやすいようであれば、眼科医に相談してみましょう。
乱視
乱視とは
正乱視は角膜や水晶体のカーブが方向によって違うため(例:ラグビーボール)、屈折力が縦と横、あるいは斜めで異なり、焦点を一点に合わせることができません。主に角膜のひずみが原因ですが、近視や遠視と組み合わさって起こる場合がほとんどです。正乱視があると一方向の線のみが明確に見えますが、他の方向はぼやけて見えます(図 18)。
不正乱視は炎症やケガなどによって角膜表面に凹凸が生じたために正常に像が結ばれない状態を言います。
屈折異常の治療
眼鏡やコンタクトレンズ、屈折矯正手術にはそれぞれメリット、デメリットがあり、患者さん一人一人の病態や生活スタイルなどを考慮して選択されます(表 6)。
眼鏡 | コンタクトレンズ | |
メリット |
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デメリット |
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乱視の治療
不正乱視は角膜の表面に凹凸があるため眼鏡では矯正が不可能です。コンタクトレンズで矯正されますが、矯正にはハードコンタクトレンズの方が適しています(図 22)。コンタクトレンズで矯正できない場合は屈折矯正手術または角膜移植を行います。
斜視
斜視とは
向いていますね。どうしたのでしょうか・・・
斜視とは?
斜視の種類
どうして斜視になるの?
目の筋肉や神経などの異常
遠視
両眼視の異常
視力不良
両眼視とは?
斜視はどうやって調べるの?
偽斜視
斜視はどうやってなおすの?
弱視
視力も成長するの?
じっとこちらを見ていますが、何が見えているのでしょうか・・・
こどもの視力は成長します
視力の発達にはものを見ることが大切です
弱視とは?
視力の発達にはものを見ることが大切です
この場合、視力の発達は抑えられ、止まってしまいます。これを弱視といいます。近視でめがねをかけると見えるようになる場合は弱視とはいいません。
どうして弱視になるの?
- 斜視 斜視があると、成人ではものが二重に見えます。小児では二重に見えて、脳が混乱しないように、斜視になっている目を使わないようになるため、弱視になる場合があります。これを斜視弱視といいます。
- 遠視 遠視があると、近くを見るときも、遠くを見るときも、はっきりと見えないため、視力が発達せず、弱視になる場合があります。
- その他 生まれつき、白内障などの目の病気がある場合、あるいは乳幼児期に眼帯を長い間(3~7日間程度)つけたりした場合、ものを見る訓練ができず、弱視になる場合があります。